【GATEと人】#1 三豊の外と内を繋げる 原田佳南子さん – 瀬戸内ワークスレジデンス GATE|地域とつながるシェアハウス

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【GATEと人】#1 三豊の外と内を繋げる 原田佳南子さん

 

 

こんにちは!瀬戸内ワークスレジデンス「GATE」のSNSプロモーターを務めている中村彩です♪

私の仕事は、SNSを通じてGATEの魅力をたくさんの人に伝えることです。

そんな私が思うGATEの一番の魅力は、ただ宿泊するだけでなく地域の人との繋がりを生み、地域コミュニティに入る玄関口になっていること。

今回から始まる「GATEと人」シリーズでは、GATE宿泊者との交流が多く、三豊市で魅力的な活動をしている人にスポットライトを当て、その人の過去・今・未来を長編記事でご紹介します。

 

記念すべき第1回目は、GATEのコミュニティマネージャー原田佳南子さん。

三豊の仲間たちからは「はらかなさん」という愛称で呼ばれています。

東京都出身。慶應SFC卒業後、楽天に入社。地域振興事業部で地域のプロモーションを担当。そんなはらかなさんが三豊で活躍するまでには、数々の不思議な巡り合わせがありました。

 

私には帰る田舎も、戻る地元も無かった

「東京都出身で、1歳の頃から中学卒業までは札幌に住んでいました。両親が東京の人だったこともあり、高校入学と同時に家族で東京に引っ越して、そこからずっと東京です。ルーツは札幌だけど、そこに実家があるわけでもないし『帰れる場所』ではないんですよね。

 

その後、新卒で楽天に入社して、楽天トラベルで約9年間仕事をしていました。その内、ホテルや旅館のコンサルティング営業を大阪で3年ほど経験しました。

宿って、今日泊まれるお客さんの最大人数が決まってるじゃないですか。どんなに頑張ってもそれを増やすことはできないわけです。ある時、営業先の方に『原田さんよく頑張ってくれるのは嬉しいんだけど、楽天の売上が伸びてもじゃらんの売上が減るだけで、宿全体としてはあまり変わらないんだ』と言われて衝撃を受けました。でもその通りだなと思って。

エリア全体に人が来るような仕事をやりたいと思い、地域振興事業部という、地域のプロモーションを行う部署に異動しました。そこでは市や県の観光課を訪ねて、楽天トラベルでのPRを提案する営業をやってたんですが、本当にまちを変えようと思ったらプロモーションだけでは満足できなくなって。

 

そんな時に思い出したのが、全国各地で出会った、地域に根差して事業を行う同世代の人たちのこと。生き様と覚悟がすごくかっこよくて、私もこういう生き方をしたいと思いました。『地方で起業するぞ!』と決意して会社を辞めました。」

 

さあ、どこで起業する?

「地方で起業すると決めたはいいものの、私には帰れる田舎が無かったので『どこでやろう?』という問いからスタートしました。

初めに候補に上がったのは、大阪転勤時代に足繁く通っていた和歌山県。初めて和歌山に行った時に、『日本にこんな綺麗な場所あるんだ・・・』と思って。今まで都市部にしか住んだことが無かったので、山と海が近くて、自然がいっぱいあることがとても新鮮で、感動的でした。

 

大好きな場所だし、前職でお世話になった人も多いし和歌山でやってみようと決めて毎月和歌山に通いました。

でも和歌山で何をやるのか、どんなに通っても突破口を見つけられなかったんですよね。

 

『自分はどうしてもこれをやりたい』ってものを持ってる人は、背景に強烈な原体験があることが多いと思っていて。でも私にはそういうものがなかったんです。かといってその時トレンドだったカフェやゲストハウスに安易に手を出すのも違うなと思いました。

もともと地域全体に人が来るような仕事をやりたいと思っていたので、自分がそれをやることで町の人に感謝されるような事業をしたいという気持ちでした。でも、具体的に何をやるかはどれだけ通っても全然見つからない。

 

そんな時に並行して仕事で関わっていた三豊市で、地域商社を作るプロジェクトが始まりました。(2017年)

私はそのお手伝いをしていて、地域商社の事業内容を決めたり、それをやる人を全国で公募して選抜したりしました。そして地域商社プロジェクトの中で『UDON HOUSE』という、うどん作り体験ができるゲストハウスの構想が生まれました。私はその事業もお手伝いすることになって、物件探しやリノベーションを担当しました。

ある程度工事が進んだところで実際にUDONHOUSEを運営する人を探そうという話になり、うどんに詳しい地元の人など何名かに打診してみたんですが、ことごとく断られてしまいました。私にとってUDON HOUSEは、物件探しから担当した我が子のような存在だったので、断られていくのを見てだんだん可哀想に思えてきて・・・(笑)

 

元々地方で起業をするために会社を辞めたのに、事務的な仕事ばかりやっている今の自分を変えなきゃって思ったのと、楽天トラベル時代に宿泊施設をたくさん見てきたこと、立ち上げから全てを見てきた自分がやるのが最適かな、という心境の変化もあり、運営者に立候補しました。」

 

三豊移住はドタバタスタート!

 

「2018年の2月頃、運営者に立候補して、UDON HOUSEの工事が終わる6月頃に三豊へ移住しました。

 

UDON HOUSEに住み込みで働く予定だったんですが、いざ引っ越してみると工事が遅れていて。窓枠だけあって、窓がハマってないみたいな・・(笑)

セキュリティ的にもアウトなので、始めの1週間は知り合いの三豊の事業者さんにお願いしてアパートに住まわせてもらいました。1週間後、住めるようになったということでUDONHOUSEに引っ越すんですけど、まだ工事は続いていて、朝起きたら大工さんと出会すなんてことがあったりしました(笑)

引っ越し作業をやりながら、うどん作り体験のプログラムを作ったり、さぬき麺機さんに通ってうどんの勉強をしたり・・とにかく忙しかったです。」

 

ここからいろんな事業が生まれた!UDON HOUSE飲み会

「地元の方にUDON HOUSEの存在を知ってもらおうという気持ちもあって、オープン直前の時期にUDON HOUSEで飲み会を開きました。それが好評で、毎週のように集まるように。

主な参加者には株式会社イマガワの今川宗一郎さんや、喜田建材の喜田貴伸さんがいらっしゃいました。

cafe de flotsの浪越さんにケータリングをお願いすることも。

 

私はここに住んでいるので、みんなが帰ってくれないと寝られないんですよ。でも、お開きの時間になってもみんな全然帰ってくれないんです(笑)

その姿を見て、こんな場所がみんなに求められてたし、必要だったんだな、と気づきました。

 

何度か地元の人を集めて飲み会をやっていると、意外と地元の人同士が繋がっていないことがあったりして。三豊に来て3ヶ月の私が、地元の人に地元の人を紹介してるという不思議な状態になっていました。

 

UDON HOUSE飲み会の特徴は、みんなで未来の話をするということ。

社会人の飲み会って愚痴をつまみに呑むみたいな、ストレス発散的な飲み会が多いんですが、この飲み会は違います。みんなで未来のことを考えるか、自分のことを語るのが暗黙のルールになっていました。この場を楽しいと思ってくれた人が知り合いを連れてきてくれて輪が広がっていきました。URASHIMA VILLAGEの構想もここから生まれたんですよ。」

 

誰がやるんですか問題から生まれた「GATE」

「UDON HOUSEやURASHIMA VILLAGEの発案者・プロデューサーである古田秘馬さんは、面白そうな企画を次から次へと持ってきてくださるんです。めっちゃ面白いし、あったらいいなとは思うけど、自分の身体は一個しかなくて、私にはやりきれない。でも他に動けそうな人もいなくて、私は秘馬さんに『面白いと思いますけど誰がやるんですか』とずっと言っていました。実は私もUDON HOUSEを立ち上げる時に仲間探しでとても苦労しました。

みんなどうやって仲間を集めてるんだろうと思い、三豊の経営者さんに聞いてみたら、「うちも人が足りてないんですよ」との返答が。圧倒的人材不足というこの町の問題をひしひしと感じました。

 

そこで思ったのは、地域外から人材を連れてくることの必要性。地域内の人材は限られていて、どうしても取り合いになってしまう。例えUDON HOUSEに良い人材が入ったとしても別の企業の人材不足が続いている。そんな状況は地域としてよろしくないので、地域全体に外から人を呼び込むことが必要だと思いました。

 

また、一度観光に来た人が次回もう少し長く滞在したいと思ったときに泊まれる場所がないことから、シェアハウスがあるといいよね〜という話が上がったりしてて。

この2つの話がGATEの原型になりました。

 

またこの頃、関係人口という言葉がよく聞かれるようになりました。

関係人口とは、特定の地域に観光以上移住未満の関わり方をする人のことなんですが、三豊には関係人口に向けたサービスがありませんでした。

2019年度、三豊市が関係人口創出事業を開始し、私たちはスポットではなく三豊市全体を面で発信するということに力を入れました。その中で私たちは、関係人口の定義を『三豊に役割を持つ人』と設定しました。

ふるさと納税をしてくれた人も関係人口になるという広義的な解釈もありますが、町にくり返し来てもらうには三豊に居場所と役割があることが重要だと考えました。

 

これの実証実験的な感じで、スマウトという移住スカウトサービスに求人を出してみました。

(実際の記事がこちら→https://smout.jp/plans/276

これが結構好評で嬉しかったです(笑)

 

その他にも、丸の内朝大学での授業や日本仕事百貨への掲載など、関係人口になりそうな人を顧客に持つさまざまな媒体と組んで、『三豊を面で発信する』ことに取り組みました。

 

東京でイベントをやったこともありました。三豊についてプレゼンしたり、みんなにうどんを振る舞ったりして、興味を持ってくれた人には1泊2日三豊ツアーに来てもらう『ローカルトライアル』を年に8回くらい行いました。

それがきっかけで移住する方もいて、思った以上の反響がありました。

 

三豊市の事業自体は年度末で終了したのですが、私たちは引き続きやりたいという思いがあったので、民間だけで続けることにしました。

2019年の1年間で出会った方の中で、これからも引き続き三豊に関わっていきたいという人が結構いらっしゃって、そういう方が三豊に来る時の居場所を作りたいという思いで、ついに2020年の2月、GATEをオープンしました。」

 

はらかなさんが思う、三豊の好きなところ

「三豊の中で一番好きな場所は紫雲出山です。紫陽花が綺麗な時期に初めて紫雲出山に行って、冗談抜きで『ここで死にたい』と思いました(笑)

こんな場所で人生の最期を迎えられたら幸せだろうな〜みたいな。

 

あと、少しマイナーなんですが、仁尾町のみかんの里からcafe de flotsに行く途中のカーブを曲がった時に見える海が絶景です。

 

でも一番好きなのは、家族みたいにあったかい仲間。

先ほど挙げたような美しい景色は三豊以外でも見つかるかもしれないけど、こんなあったかい仲間は三豊以外にはいない。私がどうしても三豊じゃないといけない理由は、家族みたいにあったかい仲間がいるからです。」

 

最後に、何かPRしたいことはありますか??

「あります!!

瀬戸内暮らしの大学、冬学期クラスが絶賛参加者募集中です!

地元の人ももちろんですが、GATEに宿泊中の方や移住者の方にぜひ参加していただきたいです。

というのも、この前ある利用者の方から『地域の人を紹介してもらいたいんだけど、繋いでくれる人に負担がかかってないか心配』という声をいただいて。その気持ち、とてもわかるな〜と思いました。

暮らしの大学は趣味を通じて、地域の人も外から来た人も同じ立場で仲良くなれます。

ぜひ気軽にご参加ください♪

 

また、近日中に暮らしの大学の校舎(仁尾町)にコワーキングがオープンします!ぜひそちらもご利用くださいね!」

 

編集後記

記念すべき第一回のインタビュー。ゲストはこの方しかいないだろうということで、はらかなさんにお願いしました。

インタビューを通して改めて感じたことは、はらかなさんの軸の強さ。「町全体に人が来るような仕事したい」という思いで部署移動、さらには会社を退職し単身三豊に移住するなど、やりたいことがブレず、険しい道も臆せず進む姿勢がとてもかっこいい。

そして、はらかなさんの決断の中にはいつも腹を括る覚悟が感じられます。そんなところが三豊の人に愛される理由なのだと思いました。

この記事は、はらかなさんという人物を知ることに加え、近年の三豊の歴史を知るという意味でも価値のあるものだと思います。近年の三豊の盛り上がりは、UDONHOUSEでの飲み会を通じて地域の事業者が繋がらなければ実現できなかったことでしょう。

人と人を繋ぐHUBとして、三豊で挑戦を続けるはらかなさん。これからも活躍が見逃せません!

 

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